炭素繊維補強工事とは、基礎に炭素繊維を張り付けて、マトリックス樹脂で接着し、耐震補強を行うことをいいます。
炭素繊維補強工事は、基礎に鉄筋が入っていない場合や、基礎のクラックが多かったり、大きかったりする場合に採用されています。
なお、クラックとは、建物の外壁や内壁、基礎などにできる亀裂やひび割れのことをいいます。クラックは、乾燥収縮や膨張などによって生じるものです。表面に生じた小さなひび割れを「ヘアークラック」や「チェッキング」といいます。設計、施工上の欠陥によって構造内部から生じたひび割れを「構造クラック」や「クラッキング」と呼んでいます。季節の変化により小さなクラックが生じることもあり、放置するとクラックに雨水などが入り込み、腐食や躯体の損傷につながることもあります。また、地震や強風で構造躯体が動いたり、不同沈下などが原因で構造躯体に歪みが生じたために起こる場合もあり、構造内部から生じたひび割れは建物の強度を低下させる危険性があります。
不同沈下とは、不均衡な応力が発生することによって地盤や建物が不ぞろいに沈下することをいいます。部分的に異なる沈下を起こし、建物が斜めに傾いたり、沈み込んだりします。不同沈下の原因として上げられるのは、盛土や埋立地の締め固めや、軟弱基盤の地盤補強工事が不十分であったり、基礎地盤固めが不均一であることが原因とされています。また地中の土塊や有機物の腐食できた空洞が原因で圧密沈下することがあります。
不同沈下により、建物には、ひび割れによるクラックや歪みが生じます。ひび割れから亀裂が入ったりし、鉄筋などの腐食が進みやすくなります。また隙間が生じて風が入ったり、雨漏りの原因になることがあります。建物では、ドアの開け閉めにも支障がでたり、荷重のバランスが崩れるなど、建物に大きな負荷がかかります。倒壊の危険性も出てきます。