無権代理とは、代理権がない者が、代理人と称して法律行為を行なうことをいいます。
無権代理人が、法律行為を行った場合、原則として無効となります。ただし、民法では、本人が追認を行った場合や表見代理が成立した場合、その効果が本人に帰属するとされています。また無権代理人が相手方と契約した場合の責任は、自己の代理権を証明することができず、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従って、相手方に履行や損害賠償の責任を負うことになります。
なお、不動産において、代理とは、宅建業者が依頼者から代理権を与えられ、依頼者のために取引をすることをいいます。代理権を与えられた宅建業者のことを代理人といい、代理による取引のその効果は依頼者に帰属するという法律関係になっています。
代理人においては、次のようなことに注意しなくてはなりません。代理人は、依頼の趣旨に従って、相当の注意を払って取引に当たらなければなりません。また、取引の相手方を自分自身として取引することはできず、そして取引の相手方の代理人となることもできません。
代理人が、与えられた権限を越えて取引を行なった場合、原則として、その取引は無効となります。そのため、取引の際には、代理人に与えられた権限範囲について、委任状を確認する必要があります。